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第9回 太田市花火大会


日時2005年3月26日(土)
18:30〜20:00
天候晴れ
場所群馬県太田市上出島町
太田沖野・上田島工業団地内
mapion
下車駅東武伊勢崎線・木崎駅 徒歩30分
主催太田市花火大会実行委員会
太田市観光協会(商業観光課内)
TEL:0276-47-1833
煙火店(株)宗家花火鍵屋
パンフレット

3月も終わりにさしかかった頃、群馬県太田市にて第9回太田市花火大会が開かれた。開催時間は18:30〜20:00、打ち上げ総数約11,000発(公称)、この時期にこれだけの規模の花火大会なら申し分ない。何かのイベントに付随するのかと思い調べてみたら案の定その通りだった。例年は8月の下旬に太田市の花火大会として開かれていたらしいが今年の3月に4市町(太田市、尾島町、新田町、藪塚本町)が合併して新たな太田市として生まれ変わるのを記念して3月26日に花火大会が開催される運びとなったようだ。

場所も合併を機に4市町の中心地−太田沖野・上田島工業団地内−に移された。今回が初めての場所ということになるからweb上の太田市花火大会にまつわる過去の観覧記を読んでもどんな場所なのか把握できない。Mapionで見る限り建物も無い平地のようでもあるが・・・。得てして地理的な中心地などと銘打つところは交通の便が悪い所が多い。今回もどの駅からも遠そうだ。主催者のHPには太田駅から花火会場まで臨時シャトルバスが走っているとある。ならばこれに乗るのが確実だろう。この臨時シャトルバスは30分おきに出ている。最終便は16:00なので当日はこれに間に合うべく太田駅に着いてみたのだが・・・。

太田駅を下りるとバスターミナルのところに臨時シャトルバスの停留所があるのはすぐ分かった。係員も常駐している。だがその係員を取り囲むように人だかりが出来てる。雰囲気も何か険悪だ。何事か近づいてみるとようやく状況が把握できた。行きの最終便である16時発のバスが既に予約で全座席埋まっていたのだ。そんなこととはつゆ知らずのこのことやってきた観客−当然私もその中の一人−はここで初めて真相を知ることになったわけである。ここまで来てバスがないと言われてもすぐに納得できるわけがない。観客の一部が係員に詰め寄る。「座れなくてもいいから乗せてくれ」。だが係員は無理だと言う。係員の持つボードをのぞき込むと16時発の便のところに「56人」と書かれてあった。おそらく座席数が決まっている観光バスなのだろう。定員に達すればそれ以上は乗車できない。文句を言っても埒があかないことは分かってきたので他の交通手段を考えるしかなかった。

太田駅から会場までは臨時シャトルバスで30分ほどかかるらしい。出費を考えるとこの距離をタクシーで行くのはさすがに考え物だ。他の手段としては会場に最も近い東武伊勢崎線木崎駅まで電車で行き、そこからは徒歩で会場まで行く方法ぐらいだろうか。この様子だと帰りの臨時シャトルバスも期待できないから帰りも木崎駅まで引き返す必要がありそうだ。花火開始まで十分時間もあることだし明るいうちに道順を覚えておく必要があると考え木崎駅から徒歩で行くルートを選択した。季節はずれの花火大会や新たな会場に変更したということで観客の動向を十分把握できなかったのかも知れないがそれならばサイトでバスの座席が少ないことを事前に通知しておくべきだ。またはある程度の乗客の増減に対応できるよう近郊型バスにすることはできなかったのだろうか。次回以降の改善を期待したい。

木崎駅で降り会場までの道をひたすら歩いていく。電車を降りて気づいたが予想以上に風が強い。天気予報ではこの日一日中北西の強い風が吹きっぱなしとのことだった。マイクが風に負けて吹かれなければいいが・・・。そのマイク、今回もWM-61A改で臨むが多少小細工をしてきた。長野えびす講煙火大会伊東温泉とっておき冬花火大会では派手に歪みが生じてしまったのはそれぞれの観覧記で述べたとおりだ。それもただのレベルオーバーではなく花火の開発音がした後しばらくレベルが押さえられるという特異な現象だ。一方同じマイクで録音に臨んだ富士山麓 須走の大花火秩父夜祭ではこの現象はまったく発生していない。そこでそれぞれの録音での相違点や共通点を探ってみたところ実に興味深い事実に突き当たった。派手な歪みが生じたときの録音に共通する特徴はマイクに小型のウィンドジャマーを装着していた点だ。一方特に歪みが発生しなかったときはマイクにウィンドジャマーを装着していなかったことがわかった。これは飽くまでも仮説に過ぎないが、小型のウィンドジャマーを無理矢理付けたことで花火の開発時の振動がウィンドジャマーを通してマイクのヘッドに直接伝わったのではないだろうか。音にとどまらず強力な機械的振動もマイクのヘッドに伝わったためしばらく不応期に陥ったのではないか。だとしたら解決策はある。マイクのヘッドにウィンドジャマーが直接触れないように装着できればいい。というわけで今回はマイクカプセルをステンレスパイプに固定し、その側面を覆うように金属のバネを設置した。これに今までより大きめのウィンドジャマー(スポンジ)を取り付けた。バネがカプセルを覆うようにあるのでウィンドジャマーをかぶせてもスポンジの内側はマイクカプセルには直接触れない。これでウィンドジャマーを介した振動がマイクカプセルに直接届くのを防ぐことが出来そうだ。またバネも巻き数が少ないタイプを選んだので側面から来る音も従来通り損なうことなく拾うことが出来き無指向性マイクの特性を変えることも無い。

マイクとウィンドジャマー
マイクカプセルをステンレスパイプに固定し、その周囲を保護用のバネで覆った。奥にあるのが大型のウィンドジャマー。この改良を施したことでマイクカプセルとウィンドジャマーの内側が直接触れることはなくなった。

木崎駅から30分ほど歩くとようやく道に花火大会関係者と思われる係員などが目に付くようになった。近くにある花火大会専用の駐車場もかなり広い。あたりは建物もまばらなため視界が遠くまで開けている。遠くに赤城山など山が連なっているのが見えるが花火大会会場一帯は完全に平地といっていい場所にある。そしてその会場もだだっ広い。夏の花火大会でもこれだけ広く整地された場所を確保している所は珍しい方だろう。これだけいい環境を用意できてるだけに臨時シャトルバスの一件は残念だった。

第9回 太田市花火大会 - 会場
会場入口からイベント会場を臨んだ。花火はイベント会場の奥で打ち上げられる。

さて、早速観覧場所を決めてしまいたい。ステージ正面の会場中央は来賓席や協賛席のための区画で仕切られている。というわけで観覧場所はその後ろか、あるいは左右でということになる。ステージの強烈なライトはおそらく終始消されることが無いと思われるから花火の撮影にステージは入れたくない。となると右か左かのどちらかしか残っていないが、今日の強烈な北西の風向き(正面に対して左前方から吹く風)を考慮すると左側の方がまだ降灰や煙害はマシかも知れない。というわけで左側に陣取ることにした。

3月は下旬だというのに気温はかなり低い。山から吹く北西の風が体温を奪っていくと共に北から冷たい寒気を招き入れているからだろうか。軽装で来たらひどい目に遭っていたところだ。そんなおり大会本部から無情なアナウンスが流れてきた。なんでも現時点での風は花火を打ち上げるには強すぎるらしい。打ち上げ開始時刻になっても風が弱まらない場合は順延すると告げてきた。せっかく群馬まで来たのに順延は悲しい。開催されるかどうかは分からないが明るいうちに準備はすませておかないとどうしようもないのでマイクの設置だけはすませることにした。

毎度のことだが花火大会にマイクというのは奇異の目でみられるようだ。今回もマイクを設置し終えた頃にとある観客の方が興味深そうに寄ってきた。地元に住んでいるその人は仕事でビデオ撮影をよくするそうで私も花火大会のビデオ撮影をしにきたと思ったらしい。録音(と補助のデジカメ撮影)だけと伝えるとちょっと驚いたようだ。だがその人もビデオ撮影をこなしてきただけあって音の重要性に関しては意気投合した。やはり豊かな臨場感はいい音無くして語れない。

ちょうどステージでは太鼓の演舞などが披露されていたのでその話題になると興味深い話をしてくれた。毎年8月14,15日になると太田市では道路を封鎖して屋台を引き回すねぶた祭に酷似した祭が開かれるという。ねぶたの本場は青森だがかつて津軽藩の飛び地が大館を中心とした地域にあったのが縁で現在の祭の形が定着したらしい。言われてみれば今回の会場にもねぶたを感じさせるオブジェが展示されていた。

第9回 太田市花火大会 - ねぶた
第9回 太田市花火大会 - ねぶた

あれほど吹き荒れていた風も6時を回ると幾分か弱まってきた。風向きは相変わらず斜め前からの向かい風だが打ち上げには支障をきたさない程度に収まってくれた。そして予定の6時半より10分ほどの遅れで打ち上げが開始。今回の花火大会は合併した市町などをもとに全体を7つのテーマに分けるようだ。

第9回太田市花火大会プログラム
テーマ1 オープニング 速火10ヶ所打ちで盛大なオープニング! 18:42〜
テーマ2 太田市 白色を基調に太田市のイメージを表現! 18:52〜
テーマ3 尾島町 緑色を基調に尾島町のイメージを表現! 19:08〜
テーマ4 合 併 小型煙火を中心に様々な花火のコラボレーション! 19:23〜
テーマ5 新田町 オレンジ色を基調に新田町のイメージを表現! 19:31〜
テーマ6 藪塚本町 青色を基調に藪塚本町のイメージを表現! 19:44〜
テーマ7 フィナーレ 速火10ヶ所打ちで豪華なフィナーレ! 19:58〜

テーマ1:オープニング 「速火10ヶ所打ちで盛大なオープニング!」
第9回太田市花火大会 テーマ1 第9回太田市花火大会 テーマ1 第9回太田市花火大会 テーマ1
テーマ1 オープニング
(StereoAB録音, 2min 16s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(11MB)
MP3(2.1MB)

テーマ2:太田市 「白色を基調に太田市のイメージを表現!」
第9回太田市花火大会 テーマ2 第9回太田市花火大会 テーマ2 第9回太田市花火大会 テーマ2
テーマ2 太田市
(StereoAB録音, 3min 9s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(11MB)
MP3(2.9MB)

テーマ3:尾島町 「緑色を基調に尾島町のイメージを表現!」
第9回太田市花火大会 テーマ3 第9回太田市花火大会 テーマ3 第9回太田市花火大会 テーマ3
第9回太田市花火大会 テーマ3 三重芯 第9回太田市花火大会 テーマ3 三重芯 第9回太田市花火大会 テーマ3 四重芯
テーマ3 尾島町
(StereoAB録音, 1min 48s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(6MB)
MP3(1.6MB)

テーマ4:合 併 「小型煙火を中心に様々な花火のコラボレーション!」
第9回太田市花火大会 テーマ4 第9回太田市花火大会 テーマ4 第9回太田市花火大会 テーマ4

テーマ5:新田町 「オレンジ色を基調に新田町のイメージを表現!」
第9回太田市花火大会 テーマ5 第9回太田市花火大会 テーマ5 第9回太田市花火大会 テーマ5
テーマ5 新田町
(StereoAB録音, 3min 5s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(9MB)
MP3(2.9MB)

テーマ6:藪塚本町 「青色を基調に藪塚本町のイメージを表現!」
第9回太田市花火大会 テーマ6 第9回太田市花火大会 テーマ6 第9回太田市花火大会 テーマ6
テーマ6 藪塚本町
(StereoAB録音, 1min 53s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(6MB)
MP3(1.7MB)

テーマ7:フィナーレ 「速火10ヶ所打ちで豪華なフィナーレ!」
第9回太田市花火大会 テーマ7 第9回太田市花火大会 テーマ7 第9回太田市花火大会 テーマ7
テーマ7 フィナーレ
(StereoAB録音, 3min 31s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC unavailable(11MB)
MP3(3.3MB)

打ち上げ場所は横の方向にワイドに広がっているようで一枚の写真では全体を収めきれない時もままあった。左方向では大きめの玉を、右方向では庭園花火のような小玉を淡々と打ち上げていた。また合併をテーマにした花火大会とあって各テーマにて市町などの基調色を表現しているというが、実際に見た感じではそれほど強く基調色にこだわっているようには感じられなかった。それもあってか各テーマの違いというものはあまり記憶に残っていない。風が強かったため多少流された感はあるが、それでもテーマ3で多重芯モノ(最大で四重芯)が拝見できたときはさすがにうれしさがこみ上げてきた。ちなみに観客席が風下に位置していたため途中派手な降灰の洗礼を受けることもしばしばあった。まるで小雪の中にいるかのような降灰を経験したのは今回が初めてだ。観覧する上で風向きというのは重要かもしれない。

さて、肝心の録音である。全体を聞き直してみる限り特にレベルの低下は見られなかった。ウィンドジャマーの取り付け方の改良が功を奏したのかもしれない。ただ以前問題が発生したのは10号玉以上のクラスの玉をかなりの至近距離で録音したときだった。一方今回の太田市花火大会は最大の玉でも7号か8号程度だったのではないだろうか。ウィンドジャマーの取り付け方で本当に問題が解決されたのかどうか今後もテストしていく必要がありそうだ。

また改良の副次的な効果だろうか。今回の改良は音質にも大きな影響を及ぼした。過去WM-61A改で録音した音と聞き比べて頂きたい。今回録音した音は低音域が強調されていることにお気づきだろう。今まではマイクカプセルをむきだしのままで録音に臨んでいたが今回は比較的に質量のあるステンレスパイプに固定してみた。録音するときの理想は外側のマイクカプセルは固定され、中にある振動板だけが音を受け振動している状態だ。ところが実際は外側のマイクカプセルも幾分か振動してしまう。結果振動板の動きが相殺され実際の音とずれてしまう。特に音が低音域になるほどこの影響は顕著に表れる。そこでマイクカプセルを質量の大きいものに固定することで外側の振動を防ぐことができればこの問題は回避できる(質量が大きいほど揺れの影響を受けにくい)。そして今回使用したステンレスパイプこそがその質量の大きなものに相当するわけだ。結果今まで拾えなかった低音域まで拾えるようになったと思われる。




よもやま話

近年は花火の打ち上げにBGMがかけられることも珍しくなくなってきた。録音したものを聞いて頂ければ分かる通り今回の太田市花火大会でもBGMとして音楽が流されていたり和太鼓の演奏がされたりしている。今回の花火の打ち上げを総監督したのは(株)宗家花火鍵屋だが花火大会の演出を手がけている煙火店で特に音の演出にもこだわっているというから今回BGMが流れていたのも納得できる。その一方で花火そのもののもつ音(開発音など)も重視しているというから花火の音録りを趣味としている人間にとってはうれしい限りである。

さてこの「鍵屋」、花火に疎い人でも「鍵屋」と聞けばだいたいは察しが付くだろう。そう、あの「た〜まや〜、か〜ぎや〜」の「鍵屋」のことだ。「玉屋」「鍵屋」というのは江戸時代に存在した代表的な煙火店の屋号(店名)を表している。歴史的には「鍵屋」の方が古くその起源は1659年(萬治二年)までさかのぼる。その鍵屋が手がけた代表的な花火大会が両国大川(現隅田川)の川開きだ(この両国川開きは1978年に「隅田川花火大会」と名前を変えて現在に至っている)。初期の両国川開きでは鍵屋が単独で花火を打ち上げていたが、鍵屋が六代目の時に鍵屋の手代だった清吉がのれん分けしてもらい名を玉屋市兵衛と改め「玉屋」を開業してからは両国橋を境に上流を「玉屋」、下流を「鍵屋」が受け持ち二社で競演するようになった。双方が打ち上げる花火に対して観衆が屋号で声援をかけるようになったのが「た〜まや〜、か〜ぎや〜」の始まりだ。ところがこの玉屋、1843年(天保14年)に失火してしまい町を半丁ほど類焼させてしまった。この時代の失火に対する罪は重く玉屋は財産を没収されたあげく江戸お構い(追放)に処せられ、一代限りで途絶えてしまった。

一方の鍵屋はその後も代々家業の煙火業を継いでいき日本の花火の発展に大きく寄与してきた。初期の日本の花火と言えば仕掛け花火や手筒花火、狼煙(のろしの一種)、流星(ロケット花火の様な物)などが主流だった。今では当たり前に見ることができる大きく真ん丸に開く花火が様になったのは明治時代に入ってから、十代目鍵屋弥兵衛の尽力によるものらしい(参考:鍵屋の歴史)。真ん丸に開く花火と言ってもただ球対称に作ればいいというわけではない。星の配置が少しでもずれれば開いたときの形はいびつになる。割薬の力が均等に伝わり玉皮の貼りの強度も均等でなければ真ん丸には開かない。真ん丸に開く割物花火は日本独自のものであり一つの形として完成するまで筆舌に尽くしがたいほどの苦労や困難があったことは想像に難くない。これ以降日本の花火は海外では見られない一発鑑賞型という特異な性質を帯びていくわけだから真ん丸に開く割物花火の登場が日本の花火の歴史上重要な転換点であることは疑いようのない事実である。

鍵屋が日本の花火の発展に貢献したのは真ん丸く開く割物花火の開発だけにとどまらない。鍵屋十四代目天野修氏は点火技術の改良に努め、1985年に電気点火システムの開発に成功した。それまでの花火の打ち上げ方法では花火師自ら発射筒に火を投げ込んでいかなければならなかったため常に危険と隣り合わせの作業だった。火の粉はひっきりなしに全身に降りかかり耳元では打ち上げ時の轟音が鳴り響く。過早発や筒割れが発生すればそれだけで命にかかわる重大な事態を招く恐れがあったからだ。それが電気点火システムの実現以降は花火をセットし終えたら安全な距離まで下がってボタンを押すだけで花火を打ち上げられるようになった。これにより打ち上げ時の事故を大幅に減らすことに成功した。

電気点火システムは安全性以外にも思わぬ副産物をもたらした。スイッチを押せば花火が打ち上がるのであるならば人が押す代わりにコンピューターにあらかじめプログラムしたタイミングで点火させてはという発想に至るのは至極自然な成り行きである。現在の電気点火技術では誤差が1/10〜1/100秒以内という極めて正確な精度で打ち上げが可能となっているらしい。この技術は花火の打ち上げを音楽に連動させるという形でスターマインに確実に新たな潮流を作りつつある。コンピューターの支援を受けたこの打ち上げ方法は今日急速に広がっている。

一方それでも解決は難しい問題はある。打ち上げの精度をいくら上げたところで上空で開発するタイミングの正確な制御は難しい。 花火の開発に重要な役割を果たすのが親導(導火)−火薬が詰められたパイプのようなもの−だ。これが玉の外部から中心部分に達するよう埋め込まれている。打ち上げ時に親導が着火してそのまま玉の内部に向かって火が伝わっていく。ちょうど玉が上りきった頃にその火が玉の中心部に達し割薬に着火、開発に至るという仕組みだ。 その開発までの時間は親導の工作精度で決まり、現在では規格化された市販品が広く普及しているがそれでも精度は電気点火の1/10〜1/100秒には遠く及ばない。もしこの部分の精度を大幅に向上させることができれば、打ち上げのみならず開発のタイミングも今よりもっと細かく制御できることになる。打ち上げと開発が自在に操れるようになったときスターマインは新たな境地に達するに違いない。よりテンポの速い曲にもついていけるようになるだろう。いや、逆に花火でリズムを取ることが出来るようになるかもしれない。電気点火が広く普及した今、次は開発のタイミングの高精度化に取り組む段階に来ているのではないだろうか。

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