伊東温泉とっておき冬花火大会

観覧日時2004年12月22日(水)
20:30~21:00
天候晴れ
主催伊東温泉観光協会
煙火店(株)臼井煙火
下車駅JR伊東線
伊東駅 徒歩10分
観覧場所静岡県伊東市
なぎさ公園
パンフレット

年の瀬も押し迫ってきた2004年12月22日、熱海に並んで静岡県を代表する温泉街である伊東で冬花火大会が開催されるという情報を得た。30分で打ち上げる玉の総数は2000発(公称)。玉数もさることながらラストに15号玉2発が打ち上げられるらしい。というわけで早速伊東温泉へ足を運んでみた。

伊東駅に着いたのが午後3時。駅を出ると外が騒がしい。車道規制も行われている。その先へと向かってみると群衆が何かを囲っている。どうやらよさこい踊りが行われているらしい。観光案内所でもらったパンフレットを眺めてみると花火大会の下に「冬のよさこいソーズラ祭」とかかれている。なるほど、よさこい踊りも花火大会と並びイベントの一つのようだ。

とりあえず花火大会が開かれる会場を見ないことには場所決めもままならないので一路海へと向かった。伊東駅から海に向かうと砂浜にたどり着く。伊東オレンジビーチと呼ばれている砂浜だ。その沖合にある防波堤に目を向けると早速花火の筒らしきものが設置されてあるのを発見した。

オレンジビーチ沖堤防に設置された発射筒
オレンジビーチ沖堤防に設置された発射筒

事前に入手した情報では最大で15号玉が上がるという。今見つけた打ち上げ場所は15号玉を打ち上げるには砂浜に近すぎる。きっと他にも打ち上げ場所があるに違いない。もう少し周辺を散策してみることにした。

しばらく海岸づたいに歩いているとメイン会場であるなぎさ公園へたどり着いた。入り口にあった大会運営本部に尋ねてみると花火大会の打ち上げ場所は全部で3カ所、一つは先に見つけた沖合にある防波堤上から-小物の打ち上げがメイン。もう一つはここなぎさ公園から-庭園花火と呼ばれる花火が上がるらしい。最後の一つは例の15号玉を初めとした大きめの花火の打ち上げ場でもう少し先にある伊東港の防波堤から打ち上げられるらしい。

なぎさ公園に設置された庭園花火の仕掛け
なぎさ公園に設置された庭園花火の仕掛け
伊東港の防波堤に設置された大筒
伊東港の防波堤に設置された大筒。褐色のひときわ大きな2本の大筒は15号玉のためか?

ちなみにここなぎさ公園は大会の運営本部があるだけでなくフレンドシップバザールや冬のよさこいソーズラ祭の演舞会場も兼ねている。花火大会が始まるまで飽きることはないだろう。

なぎさ公園ではフレンドシップバザールが開かれていた
なぎさ公園ではフレンドシップバザールが開かれていた
なぎさ公園の奥の方では冬のよさこいソーズラ祭の演舞のため会場が設営されてい
なぎさ公園の奥の方では冬のよさこいソーズラ祭の演舞のため会場が設営されてい

明るいうちに周辺を一通り散策してみた。さて、観覧場所はどこにすべきだろうか。撮影を考えないのであれば直前までよさこい踊りが開催されているなぎさ公園で観覧するのがベストだろう。左側のオレンジビーチの防波堤からは小物の玉が、右側の伊東港の防波堤からは最大15号の大玉が、そして手を伸ばせば届きそうなところから庭園花火が打ち上げられる。今回は迫力のある録音を実現したかったのでなぎさ公園に布陣することにした。なおこの場所は見るだけなら問題ないがこれをカメラで追いかけていくとなると大変だ。左へ右へそして正面とめまぐるしく変わる状況についていく必要がある。大小の花火が重なってもいいのならオレンジビーチの伊東駅側から撮影するのも一つの手だろう。防波堤にある2カ所の打ち上げ場所を結ぶ直線上から撮影すればひっきりなしにカメラをパンする必要はない。

午後6時。あたりはすっかり暗くなり寒さも一段と増してきた。会場ではすでに前座の和太鼓が演奏を始めている。会場入りした観客の数もだいぶ増えてきた。やはり寒いからだろうか、座って観覧しているひとは前の方のごく一部の人たちだけだ。芝生とはいえこの季節のこの時間帯に何時間も座っているのはさすがに堪える。カメラで撮影する人は注意しておいた方がいい。どんなに先に場所取りして三脚を置いておいてもそのうちまわりは立ち見客で覆われてしまうだろう。なぎさ公園で撮影するのであれば人が集まりにくい端の方か、ずっと引いてあまり人口密度の高くない後方の会場入り口あたり、あるいは思い切って会場の最前列に三脚を構える必要がありそうだ(ただしステージの照明は花火打ち上げ中も消えないので要注意)。そうでなければなぎさ公園からの撮影はあきらめてオレンジビーチなどに移動したほうがいい。

和太鼓の演奏
和太鼓の演奏

なぎさ公園のステージではすでによさこい踊りの演舞に移り華麗な舞を披露していた。全部で20くらいのチームが参加しているようだ。そして演舞も最後のチームにさしかかったところで会場にアナウンスが流れる。どうやらこのままシームレスに花火大会へ移るらしい。よさこいを踊りながら花火の打ち上げだ。

まず口火を切ったのが目の前に設置されていた庭園花火。吹き出し花火が一斉に点火された。しばらく経ってから色とりどりの星が勢いよく飛び出してくる。決して珍しい花火というわけではない。花火大会に行けば目にする機会も多いだろう。しかしこれだけ間近で観覧したのは初めてだ。小型花火と高をくくると思いの外大きな音に驚かされる。一般的な花火大会では保安距離の関係で打ち上げ現場まで肉薄することはできないが、ここ伊東のように庭園花火を一般的な打ち上げ場から切り離した場合かなりの距離まで接近することが出来る(ここでは約15m)。観覧場所をオレンジビーチにしていたらこれほどまでの迫力は味わえなかっただろう。庭園花火に関してはなぎさ公園で観覧して正解だった。

  • 庭園花火1
    庭園花火1
  • 庭園花火2
    庭園花火2
  • 庭園花火3
    庭園花火3
  • 庭園花火4
    庭園花火4

一方2カ所の防波堤から打ち上げられる花火はこれまたよそではあまり見られない打ち上げ方をしているのもあった。真上だけでなく斜め上に向けて打ち上げているものもある。玉が開発するのがちょうど目線の高さになるためこれまた迫力がある。その他にも連星も見ることができた。これはいくつかの星をひもに結わえ付けそれをパラシュートで吊るというものだ。星が空中にあたかも団子のように連なりフワフワと漂っていく。最近はこういった吊り物は風に流されてどこに落下するか分からないということで徐々に姿を消しつつある。私も連星を見たのは金沢まつり花火大会以来になる。

  • 斜め打ち
    斜め打ち
  • 斜め打ち
    斜め打ち
  • 連星
    連星

その他多重芯物が多数打ち上げられていた。まだまだ花火を見る目が養えてないので確かなことは言えないが三重芯くらいまでは打ち上げられていたと思う。何しろ左右で同時に打ち上げるものだからタイミングを合わせるのが難しい。打ち上げる頻度は左側(オレンジビーチ側)の方が高いのだがこちらは全般に小物だ。対する右側(伊東港側)は尺玉を初めとして最大15号玉を打ち上げる。その代わり打ち上げ頻度は低い。左側からひっきりなしに打ち上げられる花火に気を取られていると気が付かないうちに右側で大物が開花していたなんてことが何度もあった。もっともこの距離からCOOLPIX5200で撮影する限り尺玉以上の玉はどうしてもフレームアウトしてしまう。なぎさ公園で花火を撮影したければ広角レンズは必須かもしれない。

そして大会もいよいよフィナーレ。尺玉(10号玉)2発につづいて本大会の目玉である15号玉が2発(それぞれ玉名は「八重芯錦冠菊霞草」と「錦冠菊彩色小割浮模様」)打ち上げられた。当然カメラはフレームアウト。残念ながら録音された音も後日確認したら見事に歪んでいた。レコーダーのボリュームは十分絞ったつもりなんだが・・・。一方大会の方は最後に銀冠菊の一斉打ちで幕を下ろした。

  • 尺玉
    尺玉
  • 尺玉
    尺玉
  • 15号玉八重芯錦冠菊霞草
    15号玉
    八重芯錦冠菊霞草
  • フィナーレ
    フィナーレ
花火大会全編収録

年の瀬に花火とよさこいソーズラ踊りという夏の風物詩を組み合わせた大会は珍しい。よさこい踊りを眺めつつそのまま花火を見物できるのもお得感があっていい。よさこいに加え庭園花火や連星ものも見ることができ飽きの来ない花火大会と言えよう。ちなみに過去の「伊東温泉とっておき冬花火大会」では15号玉の打ち上げではなく水中花火が登場していたと聞く。15号玉でもインパクトは大きいが正直尺玉(10号玉)と比べて桁違いに大きいかと聞かれるとそうとも限らない。一方で水中花火の方は同じ尺玉でも開発時のインパクトは遙かに大きい。丸ではなく扇型に開く様や水中をダイレクトに伝わってくる振動は空中で開く尺とは一線を画す。鎌倉花火大会の水中花火や諏訪湖の花火大会のフィナーレを飾る水上花火"Kiss of Fire"は圧巻だ。ここ伊東温泉でも是非その水中花火を見てみたかったが実施には何かと問題がつきまとうのかもしれない(近くに漁港があるのも一つの理由か?)。残念な限りだ。

一方で録音の方はまたしても歪みが生じてしまった。15号以下の玉の開発音でも歪みが確認された。打ち上げ地点に近かったのも原因の一つかもしれない。レコーダーでリミッターをかけなかったのがいけなかったのか、あるいはマイク(WM-61A改)の許容入力を大幅に上回ったため歪んでしまったのか、こちらはもう少し原因を追及する必要がありそうだ。そもそも高感度マイクであるWM-61A改を使うのはステレオで録音するためと花火の開発音に比べて音量の小さい観客の歓声も余すことなく拾うためだ。しかし季節は冬。これだけ寒いと観客の歓声はあまり期待できない。それより澄み渡った空に響く花火本来の音を録音することを目的とするべきかもしれない。その場合はWM-61AよりDPA4062の方がふさわしいだろう。