秋季熱海海上花火大会

観覧日時2005年9月19日(月)
20:20~20:45
天候晴れ
主催熱海市観光協会
0557-85-2222
下車駅JR東海道線
熱海駅 徒歩15分
観覧場所静岡県熱海市
熱海サン・ビーチ

片貝まつりにて急遽投入することになった低感度マイクJLI-60AT。今まで使ってきたマイクとの比較はまだだったので過去何回も訪れた熱海にて録音テストをすることにした。収録ポイントは熱海サン・ビーチ、波打ち際での録音。同じ場所にてDPA4062、WM-61A改の録音を行ったから条件も近く比較するには好都合だ。

花火大会当日は天候こそ晴れているものの風は弱く湿気も多めだった。ビーチを照らす照明も光の筋を伴っている。撮影には不向きな気象条件だが目的はJLI-60ATの録音テストなのであまり細かいことは気にしない。

それにしても今年は気温が高い。ちょうど一年前のこの時期に熱海海上花火大会を初めて観覧したが長袖でもやや肌寒いくらいだった。片貝まつりといい増田の花火といい今年は去年に比べると暖かい中での観覧となった。今後も気温の高い傾向は続くのだろうか。おかげで9月に入ってもデジカメで撮影した画像から一向に消える気配のないノイズが気にかかる。

さて録音は前半と後半で若干設定を変えて臨む。前半はボリュームを大きめにしてアッテネータをかませる。後半はボリュームを絞りアッテネータが無くてもクリップしないよう設定する。ビーチから打ち上げ場所を正面に望み左側の海からは波の音、右側の山からは花火の反響音が聞こえて来るという状況での録音だ。花火の開発に先立ちカシャカシャ耳障りな音がするがおそらく大会本部においてあるマイクに拾われた花火の音が空中を伝搬してくるよりも一足先にスピーカーから流れてきたためと思われる。マイクのスイッチを切っておけば防げる単純なミスなわけだが他の花火大会でも同じようなことは意外と多く見受けられる。

Volume:4.0 リミッター:ON MIC:JLI-60AT改 (35sec)
Volume:3.0 リミッター:OFF MIC:JLI-60AT改 (1min 40sec)

では早速音比べと行こう。DPA4062で録音に望んだときWM-61A改で録音に望んだときと今回(JLI-60AT改)を比べてみると、JLI-60ATはWM-61AよりDPA4062に近い感じを受ける。WM-61Aの音を硬いと表現するならJLI-60ATとDPA4062の音は柔らかさを感じさせる音だ。もちろん同じ場所とはいえ同時期に録音したわけではないのでその違いも考慮する必要があるが、それでもWM-60AのコピーたるJLI-60ATで録音した音がWM-61AよりDPA4062のそれに近いというのは興味深い。花火のような大きい音では最大SPLの違いが音質に大きな影響を与えるということだろうか。

もう少し注意深く聞いてみるとJLI-60ATとDPA4062にも微妙な音の違いを見つけることが出来る。JLI-60ATよりDPA4062の方が高音域がややブーストされた感じがする。どちらもスペック上は20-20kHzまでフラットな周波数特性だが実際の所若干の違いが存在しているということだろうか。もちろんJLI-60ATもWM-61Aと同じようにカプセル毎に特性がバラバラなので(ステレオペアを組むときは特性の合った物を見つけなければならない)一概にJLI-60ATとDPA4062に明瞭な音質の違いが存在するとは言い切れない。今回の音の違いもJLI-60ATの個体差の範囲内である可能性もある。

いずれにせよJLI-60ATはこちらの期待を上回る音を提供してくれるたことを改めて確認することが出来た。高感度タイプのWM-61Aだったら片貝の四尺はおろか三尺すら満足に収められなかっただろう。WM-61Aと同様安価なJLI-60ATは音質の合うペアを見つける労力さえ惜しまなければ安くステレオ録音環境を構築するにはうってつけのカプセルだ。