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忘年熱海海上花火大会


日時2004年12月5日,12日,23日
20:20〜20:50
天候晴れ (12/5)
雨のち曇り (12/12)
晴れ (12/23)
場所静岡県熱海市
mapion
下車駅JR東海道線・熱海駅
主催熱海市観光協会
0557-85-2222
煙火店-
熱海サン・ビーチ

ここ熱海は一年を通して花火が打ち上げれている。一年を春期・夏期・秋期・冬季の4つの気候区分に分け各季節に何回か花火が打ち上げられる。通年で開催されていることもあって花火愛好家の人たちにとってはオフシーズンでも花火の撮影が出来る貴重な場所のようだ。2004年の冬季も12/5,12,23の3日間開催され山々に囲まれた熱海に心地よい開発音が響き渡った。

12月5日

この日は強風に見舞われ鉄道のダイヤが大幅に乱れてしまった。熱海駅手前で電車が止まってしまい現地入りしたのは午後5時近く、早々に観覧場所を決めてしまわなければ。この日の風は強いながらもいつもと同じように山から海に向かって吹いていたのでどこから観覧しても煙に悩まされるということはなさそうだ。前回9月に訪れたときは熱海サン・ビーチから録音・撮影したので今回は別の場所を探す。せっかくだから熱海城付近から会場を望んでみるか。というわけで港沿いに走る国道135号線を一路熱海城をめざし進んでみた。

車ならまだしも機材を担いでの歩きは意外にしんどい。日はとっくに暮れ辺りも暗くなりこの道が正しいのかすら怪しくなってきた。道中にあったホテルのフロント係の人に道を尋ねてみたところ熱海城まではここからさらにくねくねした道を40分ほど歩かなければならないらしい。花火打ち上げまで時間はまだあるがさすがに帰りのことを考えると躊躇させられる距離だ。とりあえず海岸まで戻ってそれから場所を考えなおそう。

魚見崎バス停 そこで今来た道を引き返していると突然視界が開け湾全体を一望できる場所に偶然出くわした。近くに「魚見崎」というバス停がありうまい具合にその待避場所がある。ここなら荷物を下ろし三脚を立てるぐらいのスペースは確保できそうだ。

しかしこの場所、待避場所になっているとはいえすぐ後ろを猛スピードで車が駆け抜けていく。あまり気持ちのいいものではない。一方車の往来は多い反面崖の中腹にあるためか人の気配が全くない。本当にこの場所から花火が見えるのかいささか不安だ。

開始時間も押し迫り、水銀灯の明かりの下一人黙々と作業をしているとカメラを抱えた人が二人ほどやってきた。本格的な一眼レフカメラを構えていることから撮り慣れした方々なのだろう。ここは撮影ポイントなのかもしれない。ほっと一安心。また三脚群が呼び水になったのか開始間際には一般のギャラリーも集まりそれまでの静けさとはうってかわって人口密集地帯となった。

ちなみに今回の録音はDPA4062とWM-61A改の両方のマイクを投入した。左にWM-61A改、右にDPA4062を入力して同じ条件で同時に録音すればそれぞれのマイクの特性を比較する判断材料にもなるわけだ。というわけでそれぞれのマイクに限ればモノラル録音ということになる。

忘年熱海海上花火大会(12/5) 忘年熱海海上花火大会(12/5) 忘年熱海海上花火大会(12/5)
忘年熱海海上花火大会(12/5) 忘年熱海海上花火大会(12/5) 忘年熱海海上花火大会(12/5)

この日はおそらく最大で7号から8号くらいだった。ただちょうど開発する高さが魚見崎バス停の標高と同じかやや高いくらいだからまさに目の前で炸裂する。しかも大玉の上がる場所は魚見崎バス停から見て手前側だからその弩迫力ゆえ一瞬尺玉が炸裂したかと錯覚してしまったくらいだ。たまには場所を変えて魚見崎バス停で観覧するのも面白いかも知れない。

魚見崎バス停付近にて
(Mono, 2min 34s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC(4.82MB)
MP3(1.17MB)

魚見崎バス停付近にて
(Mono, 2min 34s)
DPA4062 + PMD670
FLAC(4.83MB)
MP3(1.17MB)

こうして聞き比べてみるとWM-61A改の硬質な音に対してDPA4062の方は実に柔らかい音だ。花火のような大きな音の場合(しかもこの場所は高いので開発地点にかなり近くそれだけ音も大きい)はマイクの最大SPLの違いも音質に影響してくるのかも知れない。同じ場所、同じ条件で録音してもマイクの種類が違うだけでこれほどの差が出るところが実におもしろい。

最後に写真に関して。ここ熱海の花火の特徴は締めにワイドスターマイン−空中ナイアガラが披露されることだ(録音の方でも最後の方に収録してあるから是非お聞き頂きたい)。そのために作った堤防から一斉に打ち上げられ夜空を埋め尽くす。2004年の冬季は銀冠菊の一斉打ちと決まっているようだ。これだけ一斉に打ち上げられると光量もかなりのものだ。白飛びしないようNDフィルダー(ND2+ND4)を用意したのだが・・・

忘年熱海海上花火大会(12/5)

結果はこれでも不十分、真っ白に飛んでしまった。絞りがマニュアルで調節できないコンパクトデジカメはこういうとき融通が利かない。しょうがないので次回(12/12)までにND8を購入しこれを投入するとしよう。

12月12日

この日は朝から雨が降ったり止んだりを繰り返していた。行くべきか行かざるべきかなかなか決心が固まらない。夕方まで迷ったあげく午後9時まで曇りという天気予報を信じて熱海に向け出発することにした。

現地に到着したのは午後8時過ぎ。開始まで時間がない。幸い雨は降ってはいないようだが体にまとわりつく湿っぽい空気が何とも不快だ。雨が降った時を考えて今回は録音機材は持ってこなかった。撮影のみなので三脚とコンパクトデジカメそれぞれ一つずつと軽装だ。

午後8時20分、定刻通り花火は打ち上げられた。撮影場所は熱海サン・ビーチの熱海駅側、打ち上げ地点からは最も遠い砂浜に三脚を構えた。この日のためにND8を用意した。ここからなら空中ナイアガラもギリギリ収められるに違いない。

忘年熱海海上花火大会(12/12) 忘年熱海海上花火大会(12/12) 忘年熱海海上花火大会(12/12)

湿度が高い上に風が弱かったせいだろうか、せっかくの名花も滞留した煙の中で開花ということが多かった。最後の空中ナイアガラは打ち上げる前に時間をおいたので煙がはけてからの打ち上げとなった。この日のために用意したND8をND4と結合してカメラのレンズの前にかざす。結果はねらい通り白飛びせず空中ナイアガラを収めることが出来た。絞りがマニュアル調整できないコンパクトデジカメでも工夫すれば花火をそれなりに綺麗に撮影できるようだ。ちょっとシャッターを切るタイミングが早すぎたのか密度が若干薄めだがこれは次回(12/23)に再挑戦といきたい。

12月23日

クリスマスも近いせいか冬季に行われた三大会の中ではこの日が最も人出が多かった。観覧場所は今回も悩んだが前回撮影のタイミングをやや逸した空中ナイアガラに再度挑戦すべく熱海サン・ビーチから臨むとする。この場所は9月の秋季熱海海上花火大会のときの観覧場所とほぼ同じ波打ち際だ。背景に聞こえる音は波の音に他ならない。そのときはマイクにDPA4062を使ったが今回は同じ場所でWM-61A改(ステレオ)にて録音に挑む。

忘年熱海海上花火大会(12/23) 忘年熱海海上花火大会(12/23) 忘年熱海海上花火大会(12/23)
忘年熱海海上花火大会(12/23) 忘年熱海海上花火大会(12/23) 忘年熱海海上花火大会(12/23)
熱海サン・ビーチにて
(Stereo-AB録音, 2min 48s)
WM-61A改 + PMD670
FLAC(9.27MB)
MP3(2.56MB)

山にこだました熱海特有の残響音をお楽しみいただけただろうか?さてWM-61A改とDPA4062を比べるのも面白いが、一方同じWM-61A改でも環境が違うと驚くほど録音結果が違うことも分かった。熱海サン・ビーチ(12/23)で録音した音と魚見崎バス停付近(12/5)で録音した音を聞き比べてみると同じWM-61Aで録音したはずなのに両者から受ける印象は全く違う。熱海サン・ビーチでは直接到達する音の他にも山々に反射して時間をおいて来た音も多分に含まれているのに対して魚見崎バス停付近では道を隔ててすぐ後ろは急斜面だった。もちろんこの急斜面でも音は反射しているだろうがなにしろ距離が短いから残響音と言えるものを形成するには至らなかったのだろう。加えて魚見崎バス停付近の方が花火の開発地点により近い。その結果より鋭く高い音になったのではないだろうか。

今回もフィナーレは銀冠菊の一斉打ちだ。絞りがマニュアルで調節できないコンパクトデジカメCOOLPIX5200でこの莫大なカロリーを絵にするにはND8(絞り3つ分)が必須だ。前回(12/12)はそのND8が有効であることを実証した。今回はさらにタイミングを合わせることに専念する。さて結果やいかに・・・

忘年熱海海上花火大会(12/23)
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