打ち上げミスにより途中で中止。それもまさかの2年連続で発生。加えてコロナ禍により2年連続開催中止。世間では忘れ去られつつある(?)花火大会が4年のブランクを経て遂に完走を目指す。
土浦全国花火競技大会。霞ヶ浦海軍航空隊の殉職者を慰霊する目的で始まった花火大会も今回で数えること91回目。今では全国の花火師が切磋琢磨する競技花火大会へと進化を遂げた。知名度向上に伴い観客数も増加。ただでさえ狭い桜川河川敷は今では大半が有料桟敷席へと化し、無料観覧エリアは脇へと追いやられていった。10号玉、創造花火、スターマイン、そして余興の広告花火を一望できる土手法面が無料観覧エリアだったのは遠い過去の話である。それに伴い自ずと足も遠のき、近年は家でネット配信を見て満足するようになっていた。
すっかり足が遠のきつつあった土浦花火であったが「5年ぶりの正常開催なるか」と聞けばやはり気になるもの。コロナ禍での開催とあって観客を減らすためか1ヶ月遅らせた11月に開催するというのにも惹かれた。晩秋の澄み切った夜空に上がる花火の美しさは長野えびす講煙火大会で幾度も実感しているからだ。よし、久しぶりに土浦の花火を見に行くとするか。
感染対策のため無料エリアは完全に撤廃されたと聞く。桟敷席以外では音楽も聞こえないわけだから今回は映像に収めることは諦める。写真撮影のみに専念しよう。とにかく花火が見えればいいわけだからこれを機に以前から気になっていた対岸(打ち上げ側)から観覧することにした。
花火の一部はイオンモールの駐車場から打ち上がる。そのイオンモールの背後には田んぼが広がり、そこからも観覧できるという噂は以前から耳にしていた。今回はその田んぼの一角から観覧させてもらおう。現地に到着したのは打ち上げ30分前で日も既に落ちていたが田んぼに陣取る観客はまばらで十分に空きがあった。田んぼの地面は若干モコモコしてはいたが地主の方が花火に合わせてちゃんと
撮影のセッティングをしていると早くも花火が打ち上がり始める。音楽はおろか会場アナウンスなど何一つ無い場所なので打ち上げ開始に気づくのが遅れた。こんなこともあろうかと事前にリンクを調べておいたYouTube公式ライブ配信の視聴を開始する。これで打ち上げ業者名をリアルタイムで把握できるはずだ。
打ち上げが開始されてびっくり。10号玉は目の前で上がるでは無いか。10号玉が上がるたびに付近の車の防犯センサーが反応して観客の笑いを誘う。大きい盆を好む業者が打ち上げる10号玉は15mmの広角レンズでもギリギリ収まるかといった具合。いくつかはフレームアウトしてしまった。一方スターマインはここからは打ち上げ地点が遠く、倍率を上げないと綺麗に収まらない。マニュアルフォーカスで撮影する場合、倍率を変えるとフォーカスもずれてしまうので倍率を頻繁には変えられない。今回はスターマインは捨てて10号玉の撮影に主眼を置くことにした。
写真撮影のみに専念できると余裕も生まれる。打ち上げもスローペースだったこともあり、撮影した写真を現場で確認しながら肉眼で見た花火と比較してみた。肉眼と写真の差は以前から気になっていたからだ。まず気になったのは黄色。肉眼でははっきり黄色と識別できる色も写真に収めると白っぽい色になっていた。赤は写真でも赤のままだけどどこかくすんでいる。肉眼で見る花火の赤色のハッとさせられる鮮やかさを写真から感じることは出来ない。青は青で写真にすると弱々しい青になる。写真の中の青い光は背景の漆黒の夜空に埋もれてしまいがちだ。うーん、改めて現場で比較してみると肉眼と写真の間にはだいぶ差があるな。RAW画像の現像ソフトでいじってもこの差は埋めがたい。彩度(色の濃さ)を上げていくと少しはマシになるが、やり過ぎればYouTubeでよく見かける花火動画の詐欺サムネ(言い方きつくてすみません^^:)のように絵が破綻する。撮影時のホワイトバランスは「白色蛍光灯」、ピクチャースタイルは「風景」を選んでいるがこの選択はベストではないにせよベターな印象を受ける。撮影後に現像ソフトでこれら以外に設定してみると記憶にある色から遠ざかるからだ。ここからさらにチューニングして肉眼で見た色に近づける方法はあるだろうか?発光体を見た目通りに撮影するのは意外と難しい。
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田畑煙火㈱
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豊橋煙火㈱
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㈲篠原煙火店
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㈲菊屋小幡花火店
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㈲川崎火工服部煙火店
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㈱元祖玉屋
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㈱北日本花火興業
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㈲赤城煙火店
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金沢煙火工場
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㈲六葉煙火
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㈱マルゴー
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㈲若松煙火製造所
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響屋大曲煙火㈱
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㈲菅野煙火店
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㈲菅野煙火店
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㈱静玉屋
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㈱芳賀火工
順調にここまで来たかに見えて別の問題が。とにかくサムイ…。11月開催ということで厚手の上着は持ってきたがそれだけでは耐えがたいほどに寒いのだ。同じ11月に開催される長野えびす講煙火大会には万全に防寒体制で観覧に臨んでいたが土浦は関東だしそこまで徹底した寒さ対策はいらないかな、と思ったのが間違いだった。1ヶ月ずれただけでここまで観覧環境が変わるとは…。あまりにも寒くて辛かったので結局土浦花火づくしを見終えたあたりで撤収することにした。
11月の澄んだ夜空は競技花火大会の舞台にふさわしいことは確かだ。日の入りに合わせて開催時間を全体的に30分繰り上げたことも評価できる。ただこの時期に2時間半座って観覧するのは正直に言って苦行だ。せめて2時間、出来れば1時間半に短縮できないものか。土浦の花火大会が今後も11月に開催されるようになるのかは不明だが、もし11月に観覧する場合は寒さ対策を今まで以上に徹底することをお勧めする。