第62回逗子海岸花火大会

近年は毎年5月末から6月始めに開催されていた逗子海岸花火大会。今年で62回目を数える伝統ある花火大会だが年々増大する運営費が重荷になっているようだ。遂に今年は資金が集まらず開催未定となってしまった。ここ最近は株式会社コロワイド提供によるミュージックスターマインが好評を博していたがそのコロワイドの資金を投入しても開催できないほど資金繰りに苦慮しているらしい。伝統ある花火大会がまた一つ消えるのか・・・。そう思っていた矢先に吉報が。何とか資金繰りに目処を付け9月の開催にこぎ着いたというのだ。砂浜に設けられた有料観覧席や花火サポーターズ、様々な努力を経ての開催である。大会関係者に敬意を表しながら観覧することにした。

開催日は9月27日（金）。平日なので打ち上げに先立ち場所取りすることはできない。おそらく打ち上げ開始にも間に合わないだろう。さてどう観覧しようか？JR逗子駅から逗子銀座商店街を通り抜け、シンボルロードを経て海岸に向かう最短コースは過去の経験から確実に混雑する。直進することは許されず、右折や左折を強要され海岸に出るまでかなりの時間を要すはずだ。こういうときは急がば回れ。海岸には直行せず京急の新逗子駅方向に進みそこから田越川沿いに海岸に出るルートを採用する。遠回りだが道幅も広いのでスムーズに進めることを期待する。

19時4分逗子駅着。海岸へ最短ルートで向かおうとする観客を尻目に急がば回れの精神で京急新逗子駅方向を目指す。新逗子駅を通り過ぎ田越川にかかる田越橋を渡るときだったろうか、海岸方面から花火が打ち上がるのが見えた。19時15分、定刻通りに打ち上げが開始されたようだ。予定通りなので慌てず走らず花火を眺めながら海岸に向かう。田越川にかかるもう一つの橋、富士見橋を渡れば海岸はもう目の前だ。途中交通規制にかかることも無かったので迂回ルートを採用したのは正解だった。

このルートを採用した理由はもう一つある。観覧場所の候補地、公衆トイレへの最短アクセスのルートだからだ。海岸にはいくつか公衆トイレが設置されていてそのスロープは砂浜より高い位置にあるので絶好の観覧場所になる。おまけに公衆トイレには臭い汚いイメージがあり敬遠されるからか（実際その傾向はある）花火開始直前・開催最中でも空いていたりする。そのスロープに三脚を立てかければそこはもう立派な撮影スポットに化ける。今回は公衆トイレからの観覧を見越して三脚とカメラも持参した。一方で今年鎌倉花火大会を観覧したときこの手法を試みたところ公衆トイレのスロープが立ち入り禁止にされていたという驚愕の事実に遭遇した。そのときのことを思い出しちょっと不安にもなったが実際逗子海岸に出て公衆トイレを見てみると立ち入り規制はされてなかった（立ち入り規制しにくい構造のトイレということもある）。ほっとしながら手すりに三脚を立てかける。本日の観覧場所、無事確保である。カメラをしっかり固定できたので本日は写真も動画も好きに選べる。最後のコロワイド提供のミュージックスターマインは動画で、残りは写真に収めることにした。

花火の打ち上げ時間はトータルで45分とそんなに長くないことに加え10分の遅刻をしたこともあり何枚か写真を撮影しているとはやくもコロワイド提供の「第4部 コロワイド presentes グランドフィナーレ ～コロワイド ドリーム花火 in 逗子海岸～」の時間になった。のっけから空中絵文字花火「コ・ロ・ワ・イ・ド」が2回打ち上げられ会場のテンションも上がる。海面は穏やかで高い場所から観覧していることもあり花火が水面（みなも）に反射して実に幻想的だ。2台の台船から同時に花火が打ち上げられ、打ち上げは間断なく20分間に及んだ。花火大会の半分近くをコロワイドのスターマインが占める計算だ。ひとつがここまで長丁場なプログラムはそう見かけない。逗子海岸花火大会はそんな貴重なプログラムを堪能できる贅沢な花火大会でもあるのだ。今後も存続してくれることを願うばかりである。

いつもは梅雨の走りの時期に開催されていた逗子海岸花火大会。雨に降られることもさることながら、そうでなくとも湿気の多い時期でもあるので過去花火をクリアに見ることができた記憶はあまり無い。それが今年は紆余曲折を経てこうして9月に開催された。適度に涼しく適度に乾燥し適度に風が吹いているので快適に花火を見ることができた。9月開催もいいものだな、そんなことを思いながら帰路に就く。