第12回古河花火大会


観覧日時2017年8月5日(土)
19:20~20:40
天候曇りのち晴れ
主催古河花火大会実行委員会
煙火店阿部煙火工業株式会社
野村花火工業株式会社
株式会社田熊火工 他
下車駅東武日光線
新古河駅 徒歩25分
観覧場所茨城県古河市
古河ゴルフリンクス(渡良瀬川河川敷)
パンフレット

「大玉を歪み無く録音したい」

それも放送局が使う数十万円~数百万円というプロ用機材では無く、おもちゃのような値段で売られているマイクを使って実現できたとしたら・・・。

花火大会を中継する番組が増えてきた。視聴者離れ・スポンサー離れにより収益が悪化し続けているテレビ局と、花火は見たいけど真夏の炎天下での場所取りや人混みは苦手という人々との間で需要と供給がマッチしたのだろう。中継車一台で成立する花火大会の実況中継のコストパフォーマンスは実にいい。テレビとはすっかり無縁な生活を送っている自分も花火大会の中継が放送されているとついつい見てしまう。興味は自ずと音に向かい、そして毎度こう思うのである、「花火の音はこんなんじゃない、もっと鋭い音だ!」と。

テレビ局にも言い分はある。会話レベルの普通の音量から花火のような比較にならないほど大きい音量(ダイナミックレンジが広いと言う)を破綻すること無く鳴らすことができるオーディオ環境を備えている視聴者は限りなくゼロに近い。試しに私のサイトに掲載されている花火の音声や動画を再生していただきたい。ほとんどの方には「なにこれポップコーンがはぜる音?」ぐらいにしか聞こえないのではないだろうか?ダイナミックレンジの広い音を破綻すること無く鳴らすには相応の知識、手間そして設備(往々にしてお金)が求められるのだ。より多くの視聴者を満足させる最大公約数的な発想が求められるテレビでは、花火のような大きな音には盛大にコンプレッサーをかけて(ピークを抑えて)ダイナミックレンジを縮めてから放送する。おかげで視聴者はテレビのボリュームを頻繁に変更すること無くアナウンサーやゲストのおしゃべり声と花火の音を同時に楽しむことができるようになる。だがその代償として花火本来の鋭い音が失われてしまったのである。

さて、そんな最大公約数的な発想とは無縁の我がサイト。「分かる人だけが分かればいい」ともすれば負け犬の遠吠えとも受け取られかねないこんな発想が許されるのもネットが持つ大きな利点だろう。テレビが伝えきれない花火の魅力を少しでも伝えることができれば今までやってきた工夫や努力も少しは報われる。

本題に入ろう。一昨年あたりから花火の、特に大玉の録音を見直している。テレビの花火中継がどうのこうのと偉そうなことを言ってきたが自分が録音してきた花火の音もお世辞にも満足のいく音とは言い難い。特に三尺玉以上の大玉の音はあまりにも歪みがひどい。「テ、テレビ局は高価な機材を使っているけど自分は数百円のおもちゃのようなマイクを使っているから・・・(震え声」そんな言い訳がましいことをいつまでも言ってはいられない。そこで試行錯誤を繰り返し、去年ようやく解決の糸口を見つけたところで花火シーズン終了。今年はいよいよこの問題に終止符を打つ!

今こうして古河に来たのも関東屈指の大玉である三尺玉が打ち上がるからだ。三尺玉を歪み無く録音する。それが今回の最大の目的である。去年までの試行錯誤の中で大玉の録音に歪みが発生した原因はほぼ特定できている。レコーダーPMD670に内蔵されている-20dBアッテネータで十分減衰させたと思っていた音が実は十分減衰出来ていなかった。レコーダー側のボリュームが過度に小さいときはレベルオーバーが表示されないという不運も重なってこの問題は長年見過ごされてきた(歪みの原因はマイクそのものにあると誤解していた)。対応策はマイクとレコーダーの間に追加のアッテネータを挿入する、ただそれだけのことである。それだけのことに長年気づくことができなかった。問題に遭遇したら基本に立ち返ることがいかに重要か。

アッテネータを挟むアイディアは去年の段階で一部検証し、そこそこの手応えを感じた。ただ若干音がやせる印象をいだいたので今年はアッテネータのあとにバッファを1段かませることにした。バッファを入れることで出力インピーダンスが下がり、音質を損なうこと無くレコーダーに伝送できる。さらにアッテネータは¾(-2.5dB), 2/4(-6dB), ¼(-12dB)の3段階から選べるようにした。本日大きな三尺玉があがることを考えればアッテネータは一番減衰が大きい¼(-12dB)に設定すべきだろう。さらにレコーダーPMD670に内蔵されている1/10(-20dB)アッテネータも併用する。三尺玉の大きな開発音を¼ x 1/10 = 1/40(-12dB - 20dB = -32dB)に減じてから録音するわけである。

古河花火大会は去年(2016年)も観覧し(て録音に大失敗し)た。去年はJR古河駅から会場入りしたから今年は気分を変えて東武日光線新古河駅から会場入りしよう。(上野発の)JR線の本数の少なさに辟易し、東武日光線なら少しはマシかなと思って今年はこちらにしてみたがやはりこっちも本数は少ない。少ないだけで無くJRに比べて車両数も少ないから花火の観客が集中して満員電車並の密度に。ありゃりゃ、世の中そううまくはいきませんか(´・ω・`)

新古河駅は打ち上げ会場に近い。駅前の橋を渡ればそこはもう会場だ。土手沿いに会場を横断していく。天気予報はにわか雨に注意と報じていた。電車の車窓からも黒くどんよりとした雲が見えてげんなりさせられたが会場に着く頃には夕日が差し込むくらいまで天候は回復していた。土手の上から眺める夕日は雄大で美しい。大丈夫、今日は降られないだろうだろう。

夕焼け
新古河駅近くの土手の上から夕日を望む

会場はどこもかしこも人だらけ。さすがに駅に近いだけあって混雑している。もうちょい奥の方に進もう。歩いていると途中で迂回ルートを取らされる。どうやら有料エリアを迂回させられたらしい。ここがメイン会場ですか。まだ人混みが激しいのでさらに奥に進んでいく。空いてる場所を探してみたら結局去年とほぼ同じ位置から観覧することになった。ま、場所が同じ方が前回の録音と今回の録音を純粋に比較できるのでよしとしましょう。

観覧場所
観覧場所は去年とほぼ同じ場所

場所取りも済み一段落したところであることに気付く。スピーカーの音がよく聞こえるのだ。きょろきょろ当たりを見渡すと前にホーンスピーカーが1台設置されていた。去年より近い位置にスピーカーが設置されているようだ。ここ古河はミュージックスターマインもあるので音響の強化は素直にうれしい。予報は東の風6m/sと報じていたがそこまで強い風は感じられない。でも順風である東の風が吹いていることには違いは無い。今日は煙に悩まされることはなさそうだ。待っている間にセミやらバッタやらが観客席に突っ込んでくるのも毎年恒例。ほのぼのと打ち上げを待つ。

そして満を持して打ち上げ開始。一年越し悲願達成となるか(`・ω・´)!ここは担当煙火店の一つである野村花火が打ち上げるミュージックスターマインが三尺玉と並んで目玉の一つ。その野村花火が打ち上げる花火はパステルブルーがとにかく美しい。一度はこの目で見ておくべきである。

さて、肝心の録音の方だが相当アッテネータで音量は絞ったにもかかわらずレコーダーのボリュームを2ぐらいまで下げないとレベルオーバーしそうになる点が気になる。1/40(-32dB)でもアッテネータはまだ足りませんでしたか。花火の音ってどんだけ大きいの(´・ω・`)?

そして待ってました三尺玉。去年と同じように果たして三尺玉は目の前から上がっていった。そして見事に開発。録音時にレベルメーター見てたけど特にレベルオーバーはしていなかったぞ。が、家に帰って録音データを確認してがっかり。三尺玉は歪んで録音されてるではありませんかorz・・・。そっか、本体ボリュームを2くらいまで下げると内部でレベルオーバーしていても正しく検知・表示してくれないんだっけ。むむむ・・・、一年越しの悲願達成とはなりませんでしたか・・・。

足りない!アッテネータが1/40(-32dB)でもまだ足りない!三尺玉の音ってどんだけ大きいのヽ(`Д´)ノ!

三尺玉ピーク
三尺玉開発時の音声データ:ピークが不自然に抑えられているのが見て取れる

帰りはJR古河駅より21:30発の国府津行き電車に乗って帰還。三尺玉の録音は去年に引き続き失敗したけれど、一年越しの悲願達成とはならなかったけど、それでもそのほかの花火玉の開発音は去年より鋭い音で録音出来てると思う。実際に聞く花火の音に近いビシッと響く鋭い音が録れるようになったのもバッファを入れた御利益かな?その反面周囲の音は相対的に小さくなった気がする。花火の波形が潰れずに録音できるようになれば相対的に周囲の環境音が小さくなるのは当たり前のこと。でもそれって周囲の観客の声もセットで花火大会としてきた当サイトの方針からしたらどうなんだろう?S/Nが十分確保されていれば周囲の環境音が下がっても再生側で対処可能かな?そんなことを考えながら帰路についた。よし、次回はもっと強烈なアッテネータを入れてやろう。

使用機材一覧
写真-
映像TOSHIBA A5529T
レンズ
フィルタ
-
レコーダーPMD670
マイクWM-61A改
録音方式ステレオAB録音
入力MIC端子
録音レベル4.0→2.0→1.5→2.0
level controlmanual
ATT-12dB(回路上) -20dB(本体) = -32dB
ウインドシールド茶こし+ストッキング
備考新作のドレイン側定電流回路を本大会から投入

一言コメント

旅の落書き帳です。記念に一言どうぞ。

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