第87回全国花火競技大会「大曲の花火」

観覧日時2013年8月24日(土)
18:50~21:30
天候晴れ時々雨
主催大仙市・大曲商工会議所
煙火店-
下車駅JR奥羽本線
大曲駅 徒歩30分
観覧場所秋田県大仙市
雄物川河畔
パンフレット

週間天気予報は当日の天気を一時雨と報じていた。だったら無理して行くことも無いか、そう思っていた矢先の突然の天気予報の好転。当日の予報から雨マークが消え降水確率は40%から20%へ下がるという本当によくあるパターン。それが大会2日前のことだから困る。新幹線の指定席券は何とか手配出来たものの桟敷席のチケットはどうしても手に入らない。オークションを使えばA席の1/3マス(=二人分:荷物の置き場所を考えるとお一人様観覧でも二人分のスペースは必要)を2万円前後で入手できるが定価1万4千円分の1/3マスに2万円も払う価値が果たしてあるだろうか。指定席を確保出来た新幹線が大曲駅に到着するのは16時半。それから会場に到着するのは早くて17時頃か。今までこんな遅くに現地入りしたことは無い。まあダメだったら会場の外から観覧してもいいか。ということでとりあえず着の身着のまま向かってみることにした。

大曲駅前
大曲駅前広場

この夏に降った大雨のために秋田新幹線の線路が一部流された。大曲の花火当日には既に復旧はしていたが徐行運転を強いられるなどその痕跡は当日も残っていた。そんなこんなで会場に到着したのは17時15分頃。会場では既に昼花火の開始を伝えるアナウンスが放送されていた。どこかいい場所は無いかな・・・。ふと目にとまったのが桟敷席用トイレの後ろのスペース。多少奥まった目につきにくい場所だからだろうか。この時間帯でも結構スペースが残ってるではないか。視界の一部にトイレが入るがこの時間帯に会場入りして贅沢は言っていられない。早速この場所から観覧することに決めた。

観覧場所
今回は桟敷A席のブロック2とブロック3の間の後方の無料観覧場所から見ることにした。

さて今回も収録機材と言ったら携帯電話ぐらいという軽装備にして簡単に記録を残す程度で臨むことにした。今日は天気は大丈夫だとは思うがもし雨が降ってきたときも軽装備の方が撤収作業は楽に済む。

ところで会場放送のアナウンスの音量が今回はやけに大きい。大曲は放送が聞きにくいことがしばしばあったためこの変化はうれしい。で、なんで大きくなったの?そこで後方の土手の上から見てみるとスピーカーがクレーンで吊されているではないか。それも一カ所では無く数カ所で。以前は一カ所だけ、それも地上に据え置き型のスピーカーだった。スピーカーの数が増えたことに加えて高い位置から音を鳴らすようになったことで会場放送が聞きやすくなったようだ。地味ながらこういう改善はうれしい。余談だがスピーカーの数が増えたことで若干エコーがかかったように聞こえるときがあった。これは観覧地点と各スピーカーとの距離がまちまちになることで生じた位相差に起因する問題で本質的な解決は難しい。もっとも以前のように聞き取りにくいことに比べれば些細な問題ではあるが。

スピーカー
クレーンでつり下げられたスピーカーがいくつか用意されていた。

そして18時50分。いつものオープニングテーマと共にいよいよ夜花火の部が始まった。開催に先立ち会場放送でこのオープニングの仕掛け花火とラストの尺玉30連打のときに流れる曲『夢の空』、『いざないの街』を歌われていた津雲優さんが今年逝去されたとのアナウンスが放送された。毎年大曲の花火を楽しみにしているファンの人々や、この日に合わせて帰省されている秋田出身の方々はオープニングに流れる津雲優さんの『夢の空』を聴くことでようやく大曲にやって来た・帰ってきたことを実感されてきたのでは無いだろうか。謹んでご冥福をお祈りいたします。

  • オープニング
    ナイアガラ付スペシャルスターマイン
    ♪夢の空
  • フィナーレ
    10号割物30連発・大スターマイン
    ♪いざないの街

天候の方は予報通り晴れだった。風も予報通りの西の風。打ち上げ場から観覧席に向かって吹く向かい風だ。ただ例年なら打ち上げ場の背後に広がる山々に吸い込まれるように落ちていくのが見られた日の入りも今年は厚い雲に阻まれて見えなかった。はじめは水平線の上にかかっていたこの雲も次第に西の風に運ばれてきて頭上を覆うまでになった。その西の風も若干冷たくなってきたかなと思い始めたときいきなりパラパラと雨が降ってきた。え~、聞いてないよorz。それも「しとしと」というレベルはなく「ザァーッ」という本気モード。慌てて機材(といっても携帯と三脚くらいだが)をバックに戻して折りたたみ傘で雨風をしのぐも早くもおしりがじっとり濡れるイヤな感覚に襲われ始める。脳裏にテレビやネット配信で見た今年の隅田川や諏訪湖の惨状が一瞬浮かぶ。完全撤収して大曲駅に引き返すべきか。中腰状態で思案していると今まで降っていた雨が嘘のようにやんだ。ふと空を見上げるとわずかながら星が見える。通り雨か。なんとか撤収はしなくてもよさそうだ。

風向きは相変わらずだが雨が降って空気が綺麗になったおかげか花火の発色がいっそう良く見えるようになった。ときどき頭上にパラパラと降ってきて「また雨か?」とギョッとするもどうやら降灰のようだ。大会提供のときには何かが落ちてきて頭にごっつんこ。足下を見ると玉皮の一部が落ちていた。玉皮って結構分厚いのね。貴重な経験でした(^-^;)。

競技花火の方は割物の部がハイレベルな戦いを演じていた。過去大曲の花火を観覧したときは割物の部総崩れ、とまでは行かないものの大舞台を前にして失敗してしまう残念な割物花火を数多く見てきたが今年の割物はどこも実に見事な玉を打ち上げていた。圧巻だったのが五重芯。毎年五重芯に挑戦する煙火店は二社くらいあったがほとんど毎回「崩壊」状態だった。それが今年はほぼ完璧な五重芯を打ち上げてしまった。これから本格的な五重芯の時代が到来するのか、それともたまたま成功しただけだったのか、今後も目が離せない。他にも時差式花火が着実に進化していたりと今年は見応えのある競技だった。

10号玉
  • 芯入割物「昇曲導付四重芯引先紅光露」
    自由玉「変幻~変わりつづける色彩~」
    No.13 野村花火工業
  • 芯入割物「昇銀引五重芯変化菊」
    自由玉「カメレオンボール」
    No.16 小松煙火工業
  • 芯入割物「昇曲付五重芯煌の華」
    自由玉「水辺に蛍花井」
    No.18 山崎煙火製造所
  • 芯入割物「昇り曲付三重芯往復変化牡丹」
    自由玉「閃煌華」
    No.20 マルゴー
  • 芯入割物「昇曲導付三重芯変化菊」
    自由玉「昇天銀龍万華鏡写輪丸」
    No.22 和火屋
創造花火
  • 「桜-世界へ届け日本の心-」
    No.1 紅谷青木煙火店
  • 「地球を救った男達の物語」
    No.3 磯谷煙火店
  • 「おどろ」
    No.20 マルゴー
  • 「モノクロームな世界」
    No.26 菊屋小幡煙火店
ワイドスターマイン
  • 大玉連発付スペシャルスターマイン
    提供:JA全農あきた・みちのくコカ・コーラボトリング
    提供:秋田魁新報社・NTTドコモ
  • 大会提供花火「Mission あ」
大曲駅
22時頃の大曲駅前