熊野大花火


観覧日時2011年8月17日(水)
19:10~21:30
天候晴れ
観覧場所三重県熊野市
鬼ヶ城付近海岸
mapion
下車駅JR紀勢本線
熊野市駅 徒歩5分
主催熊野市観光協会
煙火店伊藤煙火工業
紀州煙火
静玉屋
和田煙火店

熊野大花火の開催日は日付固定の8月17日。ちょうど前後して諏訪湖祭湖上花火大会や東京湾大火祭がぶつかってくるためなかなか思うように行けない。今年は幸か不幸か諏訪湖祭湖上花火大会の有料席チケットが取得できなかったため前後の日にちを熊野大花火の観覧に割くことができた。熊野市は紀伊半島の南端に位置する。地図では名古屋の隣にあるように見えるが交通の難所紀伊半島をあなどることなかれ。名古屋から鈍行で片道7時間は優にかかる。16日の深夜に夜行で出発し、17日に花火を観覧したらそのまま夜行に乗り、18日に帰ってくる。熊野大花火を観覧するには少なくとも3日はキープする必要があるのだ。

16日深夜にムーンライトながらに乗車する。これだけ早く出発しても現地の熊野市駅に到着するのは17日の昼過ぎ。無料観覧席の場所取りは数日前に開放されているためこの時間帯に現地入りしていい場所がとれるかいささか不安だが致し方ない。幸いにも交通の遅れは無く予定通り17日の午後1時に熊野市駅に到着する。今日も日差しが強い。前回観覧時も日中の日差しは容赦なかったが午後にかけてみるみると天候が崩れていき土砂降りの雨になった。強い日差しよりも地平線に怪しい雲がないかについつい目がいってしまう。

駅から海岸までは歩いて5分ほどだが途中に切り立った崖がぽつんと存在していたりする。ここら辺にも紀伊半島の険しい地形の一端をかいま見ることが出来る。そして海岸に到着。陸側からは道路に沿って建てられた高い防潮堤に遮られて海岸を一望することは出来ない。防潮堤に何カ所か海岸へと通じるゲートがあるのでそこを通らないと海岸には出られない。さて、どのゲートを通って海岸に出ようかな。

海岸に到着
浜辺に出るには防潮堤のゲートをくぐる必要がある

熊野大花火の目玉の一つ「鬼ヶ城大仕掛」は国の天然記念物の鬼ヶ城に最大二尺玉までの花火を仕掛けた地爆花火だ。前回観覧時はもう一つの目玉「三尺玉海上自爆」に肉薄した場所で観覧したので今回は「鬼ヶ城大仕掛」に肉薄した場所で観覧しようと思っている。防潮堤のゲートは若い番号ほど鬼ヶ城に近い。というわけで今回は2番ゲートを通って海岸に出ることにした。

2番ゲートをくぐる。辺りを散策してみてガッカリ。やはり場所は取り尽くされている。当日昼過ぎにいい場所をとろうなんて無謀過ぎましたか…。シートやロープで徹底的に取り尽くされた浜辺を前に茫然自失としていると地元の方とおぼしきおじさんから声をかけられる。「おたくどっから来よった?」「人数は?」。「一人」と告げるとちょっと待っておれと言い残し既に場所取りされたエリアにすごすごと入っていく。「こっちこっち」おじさんの指し示す場所は通路からだいぶ中に入ったところ。そこだけ辛うじて一人分のエリアが手つかずのままあった。おじさん曰く12日の時点でほとんどの場所が取り尽くされてしまったんだとか。遠方から来たということでご親切にも融通してくれた。おじさん、本当にありがとうございましたm(_ _)m。

2番ゲートから浜辺を臨む
2番ゲートから浜辺を臨む

海岸だからか日中は結構強い風が吹く。せっかく敷いたシートが飛ばされないように大きめの石を拾ってきてシートの縁に置いておこう。ここは不思議と砂でも砂利でもなく小石だらけの海岸。ちょっと探せばこぶし大の石はいくらでも調達できる。ちなみにここは波が高く遊泳禁止。海岸に張られた安全ロープより波打ち際側にいるだけで大会本部から警告の放送が流れるのでご注意あれ。むろん安全ロープより波打ち際側での場所取りも禁止。

この辺り一帯は遊泳禁止
この辺り一帯は遊泳禁止

せっかくだから鬼ヶ城の仕掛け花火を見てみる。防波堤上に数多くの筒が設置されているのがよくわかる。そしてぽっかり口を開けたような断崖絶壁が鬼ヶ城。国の天然記念物らしいがそこにも容赦なく花火が仕掛けられていく。最大二尺玉の地爆花火が開くらしいけどいいんだろうか(^-^;)?

鬼ヶ城に仕掛けられる地爆花火
鬼ヶ城に仕掛けられる地爆花火

午後5時前。小型ボートに曳航されたやぐらを発見。これが例の「三尺玉海上自爆」に使われる三尺玉に違いない。炸裂するとやぐらの鉄骨がグニャグニャに曲がるらしいから三尺玉の威力がどれほどのものかよく分かる。また目の前の海岸線ではランスが仕掛けられていく。ナイアガラの滝があるようだ。

三尺玉が設置されたやぐら
定位置に移動中の三尺玉が乗せられたやぐら

そして午後7時過ぎ、予定通り花火が打ち上げられた。今回は前回観覧時ように夕立に降られることはなく終日いい天気が続いてくれそうだ。日中ほどではないにせよ適度な風も吹いているから煙の停留に悩まされることもないはず。熊野は二度目にしてようやく絶好のコンディションで花火を迎えられることになった。

打ち上げ開始前
今年はようやく絶好のコンディションで花火を迎えられそうだ

まず最初に東日本大震災の犠牲者の方々に対する追善花火が打ち上げられた。そう、普通の花火大会のようにテンポ良く花火が打ち上げられるのかと思っていたら見当違いもいいところ。熊野大花火はこの「追善」が重要なキーワードとなる。この一年で無くなられた方々に対する追善が熊野大花火の最大の目的でもある。お盆の8月17日に花火が打ち上げられるのにはちゃんとした理由がある。ちなみに追善花火を奉納された遺族の方々専用の席が会場最前列に用意されている。

追善
熊野大花火のメインは追善花火である

しかし驚いた。追善花火は遺族の方々が直接奉納された花火。その花火に対して企業や団体といったスポンサーが付くことはない。いわば個人の奉納花火であるにも関わらず尺玉をふんだんに含んだスターマインが打ち上げられたり、遺族の方々の強い希望でそれまでの熊野では見られなかった連星(それも点滅連星)花火を打ち上げてしまったり、とにかくスケールが大きい。熊野大花火、三百余年の歴史の重みが感じられる。

点滅連星 海上自爆
点滅連星 海上自爆
海上自爆 斜め打ち 斜め打ち 三尺玉海上自爆
海上自爆 斜め打ち 斜め打ち 三尺玉海上自爆

3.5MB
海上自爆 鬼ヶ城大仕掛第1弾 鬼ヶ城大仕掛第2弾地爆花火(尺) 鬼ヶ城大仕掛第2弾地爆花火(二尺)
海上自爆 鬼ヶ城大仕掛第1弾 鬼ヶ城大仕掛第2弾
地爆花火(尺)
鬼ヶ城大仕掛第2弾
地爆花火(二尺)

12MB

62MB
鬼ヶ城大仕掛第2弾第1部 鬼ヶ城大仕掛第2弾第2部<br>※ラスト地爆花火(二尺)
鬼ヶ城大仕掛第2弾第1部 鬼ヶ城大仕掛第2弾第2部
※ラスト地爆花火(二尺)

追善花火以外にも熊野大花火には特筆すべき点がいくつかある。まずとにかく音がいい。すぐ近くにそびえ立つ鬼ヶ城が断崖絶壁のためかこれがとにかく音をよく反響させる。左側から響いてくる音は鬼ヶ城に反響してきた音だ。なだらかな山がコーラスの様に音を反響させる熱海や片貝と違って熊野の断崖絶壁は音をビシッと反響させる。なかなか熊野と似たようなロケーションは思い浮かばない。だから熊野で聞く反響音は熊野独特のものと言ってもいいだろう。

また熊野はシンボルの鬼ヶ城と海を存分に活用した打ち上げ方をしている。海上自爆は走る船から海に花火を投げ込むタイプ、鎌倉花火大会のそれと同じタイプだ。今年は2回ほど披露された。一度目は右側から(かなり遠かった)、二度目は右側と左側(鬼ヶ城側)からの同時投げ込み(つまり2隻同時)。投げ込まれた玉は尺玉くらいあっただろうか。また鬼ヶ城の防波堤から海に向かって斜めに打ち上げられる花火がスターマインでふんだんに採用されていた。海面ギリギリで開く玉もあるため心地よい緊張感が伴うのが斬新。他にもやぐらに設置した三尺玉を海上で開発させる三尺玉海上自爆(カウントダウンをきっちり外すのはお約束らしいw)、鬼ヶ城に設置した最大二尺玉の花火を打ち上げずにその場で開発させる鬼ヶ城大仕掛など熊野でなければ堪能できない花火がいくつも披露された。鬼ヶ城大仕掛第2弾第2部のラストの二尺玉、海上花火の三尺玉はさすがに音が大きかったのか録音結果は見事歪んでしまった。マイクの方でサチっているのかレコーダーの入力が飽和しているのかは今後のためにも確認しておかねば。

花火大会も中盤に差し掛かると煙の臭いが立ちこめていることに気が付く。あたりももやがかかったようにぼやけてる。なるほど、日中あれほど吹いていた強い風もだいぶ収まってしまったようだ。幸いにも最後の鬼ヶ城大仕掛は十分時間を空けてから打ち上げた為煙に悩まされることはなかった。今回は鬼ヶ城に近いところから観覧したからだろうか。あるいは地続きだからだろうか。三尺玉海上自爆より最後の鬼ヶ城大仕掛の二尺玉地爆花火の方が体に伝わってきた振動は大きかった気がする。

帰りは熊野市駅0時55分発の亀山行き臨時最終列車に乗車。他の電車が鹿と衝突したとのことで若干遅れての発車となった。亀山駅に着いたのは朝の5時すぎ。実質的な夜行列車と言えよう。日数はかかるとはいえ、夜通し走る列車があるおかげで関東地方からでも宿を取らずに観覧できるのは大きな利点だ。熊野大花火に興味が出てきた方は是非一度ご覧あれ。

使用機材一覧
写真Nikon E5200
映像Nikon E5200
レンズ
フィルタ
NDフィルタ(ND2,ND4)
色温度変換フィルタ(C4 x 2)
レコーダーMarantz PMD670
マイクWM-61A改
録音方式ステレオAB録音(距離50cm)
録音レベル2.0
level controlmanual
ATT-20dB
ウインドシールド茶こし+ストッキング

一言コメント

旅の落書き帳です。記念に一言どうぞ。

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